録音についてのブログ レーベルをやるためのアイデア1
発注・受注関係(は仲間ではない)ではなく、レーベル業務を行うには
ということを考えるためのメモです。
私の経験してきた”大手インディーレーベル”の最低条件での話を参考に書きます。
①レーベルはレコーディング制作費もしくはスタジオ代をアーティストに支払う。私の経験では1曲1万円程度。制作費としては通常だと足りない金額。
②アーティストは音源を制作する
③レーベルは盤を作る
④レーベルは盤をアーティストに少量現物支給する
⑤アーティストは原盤を持っていないので年に数百円程度の著作権分配しかない
⑥アーティストは物販で売る用の盤をレーベルから卸値で買う必要がある(6掛け)
この仕組みだと、自分の音楽を6掛けで買わされるだけ、になってしまい、せっかく作った盤を自分の音楽と思えなくなる。
流通して全国の店舗で売れたとしてもそれが自分に還元される訳でもないし、プロモーションとはなんなんだという気になってくる。
タワレコでインストアとかもやったことがある、ありがとうございます!とサインを書いたこともあるがそこで売れた分はもちろんレーベルのものなので取り分は無い。まあ当時はタワレコでインストアできるだけでも嬉しかったけど...
結局、レーベルスタッフ、レコーディングへの人件費は支払われているのに音楽そのものに対して何も支払われていないということになる。
私は好きな人の録音やミックスをタダで手伝うというのをずっとやってきているが、作曲者が一番偉いんだという信念に基づいての行動です。
今日はここまで
業務その他に絶対に必要なプラグイン
・Izotope RX
ボーカルの下処理(ノイズ・吹かれ・ディエッシング除去)、マイク間の被りの除去
ボーカルのピッチ修正 楽
でもWaves Tune使ってたときのほうが音良かったかもと最近思った案件があった
・Oxford Drum Gate, Sonible smart gate
ドラムパーツの分離にどちらも使う
・Fabfilter Saturn
マルチバンドディストーション。ボーカルに使う
・PSP Bin Amp
真空管ディストーションだが、歪ませるのではなく音像の距離感調整に使う
・SCHOEPS Mono Upmix
音を目の前ではなく少しだけ奥に移動させるルームリバーブ
・U-he Satin
古いテープシミュレーションだけど、ノイズリダクション回路のエミュレーターが付いているプラグインがこれしかない!Dolby-A, B, dbxがついている。テープへの突っ込みとノイズリダクションが自分の好きなキックやスネア作るのに必要、だと思う
上記以外は極論DAW純正やKomplete付属のプラグインでいけるし、実機のEQや実機の3ヘッドカセットを素通しも最近よくやります!
以上
録音のコラム#6 prod.トッドラングレンの職域
※私はトッドラングレンのファンではないため、ここに書くことはファンには承知の常識かもしれません。
この本、面白いので出てくるミュージシャン・単語に興味があれば読むのをおすすめします。
トッド・ラングレンのスタジオ黄金狂時代 魔法使いの創作技術 (P-Vine Books)

トッドラングレンのプロデュースはそれなりに高額だったとのこと(金額はこの本には出てこない)だが、料金は全てコミコミのグロスで(スタジオ代宿泊費テープ代追加ミュージシャンミックスマスタリング等)、そこがレコード会社には魅力だったのではないかというトッド自身の自己分析がある。
金額出てました!グランドファンクレイルロードのプロデュースは5万ドルとのこと!
サイケデリックファーズのプロデュースでは必要ならば鍵盤類、シロフォン、吹けないサックスソロも吹き(自分で50テイク録ったのを編集)、タートルズで知られる高音男性ボイスデュオのコーラスを追加(タートルズの名前は出さずにフランクザッパのレコードでも歌ってるとメンバーを説得)、ストリングス/ホーンアレンジ
XTCのプロデュースでは、レコーディングに入る前に60曲以上のデモ曲を叩き落としてアルバム用の選曲/曲順/タイトル/ジャケデザインまで考えてアンディパートリッジを憤慨させる、チューブスのドラマーを参加させる、有名な『ディアゴッド』の冒頭を子供に歌わせる、ギターソロ弾く、ストリングアレンジ、フェアライトを使ったサンプリング自然音やスネアの差し替え、
もちろん、レコーディングやミックス・マスタリングのエンジニアリングも自身で行い(アシスタントもいるが)、おそらく高音難聴のため初稿はかならずキンキンし過ぎとクライアントからリテイクされる(XTC、チープトリック、パティスミス)
最新のテクノロジー(リンドラム、ロックマンエフェクト、フェアライトにオケを流し込み、テープと同期させる等)を使いこなし、とにかく作業が早い(スティーブリリーホワイトは作業が遅くて待ち時間が長くその場でアイデアを思いついても活かせなかったとサイケデリックファーズのメンバーが比較している)のが特徴で、エンジニア・プロデューサーの領分を大きく超えて作品に参加するため、依頼したバンドとの軋轢もちょくちょくあったというお話。
いろいろあるけど、今そこまでやってくれる人いるの?エンジニアも出来て演奏やアレンジもできる人いるの?という話
XTCやサイゲデリックファーズなど、ニューウェーブのバンドはレコード会社から売上を期待されてトッドラングレンのプロデュースを押し付けられる訳だが、その時にトッドがかつてニューヨークドールズやパティスミスのプロデュースをやっていてパンクの感性もあるという説得を毎回されるのが面白い。
トッドラングレンがまだ若い頃にヒップであろうとして交友していたニューヨークドールズやパティスミスだが、それが10年くらい経ってから効いてくるという話
2025年9月22日(月) @吉祥寺美術館 音楽室 イベント
2025年9月22日(月) @吉祥寺美術館 音楽室
17:30 – 21:00 入場料無料 入退室自由

■hikaru yamada and the librarians(17:30~)
ピアノレコーディング
■山田光+浜田悠作 (20:00~?)
スタジオから流出した歴史的名盤のパラデータを聴く
モダーン・ペダルスチール音楽を聴く
※休憩・仕事/軽作業可・楽器練習可(大音量・電気楽器・打楽器・金管不可)
室内での飲食は不可
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体育館やグラウンドなどの自治体施設で一般開放が行われているように、誰でも好き勝手に楽器練習ができる広い部屋が開放されてたら良いのにと以前から思っていました。(個人で練習室借りることはできるけど埋まってることも多いし、体育館や卓球室より高いですよね。)それと同時にライブ/コンサート未満の気合の入っていないイベントもやりたいと思っていました。
そこで、駅からも近いコピス吉祥寺の7階にある吉祥寺美術館の音楽室を借りて定期的に緩いイベントをやっていこうと思います。
『ジョアン・ジルベルト読本』『ブラジル音楽歴史物語』等の企画・編集をした浜田さんと先日久しぶりに会い、レニートリスターノの研究書の翻訳出したい(読みたい)とかピーターインドの自伝も出したい(1章まるごとスピってる箇所がある)とか、アーサーラッセルの新しい評伝(読みたい)や彼の仏教的側面にフォーカスした研究書(それは読まないかも)が出てるなどの話で盛り上がったので、浜田さんと音楽にまつわる雑談をする会をやります。講義でもPRでもないので来られた方みんなで話しましょう。
初回は、なぜか世界中のスタジオから流出してしまった歴史的名盤のパラデータを聴いてみる、という試みをやります。
Ashford & Simpson, Herbie Hancock, Paul Simon, Tom Tom Club, Sly And The Family Stone Stevie Wonder Marvin Gaye , The Police などの音源データをインターネットの闇から入手したので適当に聴いていきましょう。凄い発見があると思いますよ。
さらに時間があったら二人とも関心のある現代のペダルスチール音楽についてもいろいろ聴いて話したりしようと思います。
更に、近々アルバムリリース予定のhikaru yamada and the librariansの次のEP用のピアノrecをやります。北川さんにサンプリングループを聴きながらピアノを弾いてもらってそれを素材として録っていきます。公開収録!というよりも淡々と作業します。近くで聴いてても構わないし、休憩したり楽器練習していても構いません。よかったらレコーディングにも参加してください。
以上
録音についてのコラム#5 近接近接近接近接近接(の予告)
Schoepsの全指向性マイクに巨大なウィンドスクリーンをつけて音源に密接させる1960年代のテクニックについて、私たちは何も知らない




録音についてのコラム#4 受注/発注関係は仲間ではない
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みんな自分で曲を作る時はたぶん100回くらい聴きながら調整していると思うけど、他の人の曲を100回聴くことはなかなか無いでしょ。どんなに楽しみにしてる新譜でも5回も聴くことあれば超名盤だし、そんなこともなかなか無い。
人の作品の録音やミックスに関わると、その過程で100回くらい聴けるという楽しみがある。そしてリリースされたものをただ消費者として聴くだけだと知ることのない細部を聴ける。仕事としてやってる人はもっとクールに適当に仕上げてるかもしれないけどね。私も昔、嫌いな声の人のマスタリングを音は極力聞かずにメーターだけ見てやったこともある。
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ふかふかささというユニットのライブ録音を先月やりました。ライブ盤という性質上フレッシュな状態で出す方が吉だと思ったのでささっと仮ミックスまで終わらせたが、今回関わらなかったらおそらく知ることのなかったイイ曲がいくつも含まれている。沼田佳命子さんのふねという曲はいつかサックスでフリージャズカバーしたい。

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最近はサックス演奏だけじゃなくて、私の好きな人には録音もミックスも全部タダでやりますということにしています。
なんかお金もらっておいて親身にじっくり人と付き合うってよくわからないんだよね。一緒に面白いことやりましょう!もムリだよね。お金もらっておいて"素晴らしいアルバムに録音ミックスで参加しました!"とかも変な気がする。変じゃないのか。仕事ってなんなんだろう。
受注/発注関係というのはほんとの仲間にはなれない。それは仕事で発注側の立場になってわかってきました。
お金貰わなくても好きな人の音楽100回聴けるんだからそれでもう元取れてるんだよね。あとお金は貰わない代わりに私のプロジェクトの録音に参加してもらう、という口契約で最近やっています。
Aural Exitersって知ってますか?Bob Blankが自分のスタジオの空き時間に顧客のミュージシャンに演奏させて作ったと言われるZEレコードリリースのアルバムで、キッドクレオール組、リジーメルシエデクルー、ジェームズチャンスなどZEオールスターズが参加している。
それの移動スタジオ版をやれるかも、というアイデアなんだけど良いでしょ。
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沖縄ではCHOUJIさんという方が無料でレコーディングスタジオをやっているらしい。
tunecoreのスプリット機能を使ってるとのことで素晴らしい発想。ヒップホップだとバイラルヒットの可能性もあるし、さらに沖縄という土地柄故に利用したい若者もたくさんいるのだろう。ビガップです。

録音についてのコラム#3 インパルス•レスポンス•イン•ネイチャー
コナミの「プロスピ」ではリアルな打球音にするために実際の球場のインパルスレスポンスを測定してリバーブを作ったらしい…

インパルスレスポンスとはざっくり言うとある空間でピストルをバンと鳴らしてその反響をサンプリング•データ化したもので(ピストルはウソ)、それを使うとリアルな空間の響きをシミュレートできるとされる。
この話、各球団のスタジアムそれぞれのデータを計測して鳴らし分けしていると誰かから聞いた気がするけど記事を読むと1箇所だけなのかな?とにかくそんなめちゃくちゃなお金の使い方できる会社は楽しそうだけど大変そうと思ってしまった。
インパルスレスポンス(IR)といえば、あまり広まってなさそうな手法としてアップライトベースの痩せたピックアップからの音をアップライトの胴の部分のIRに通して復活させるという手法をよくやっています。Twitterでも書いたけどまだあまり広まってなさそう。マイク立てられなくてもそこそこイイ感じのウッドベースになります。
この会社のIRを使ってます。
ここ最近ライブラリアンズの2人でハマっているジョンマーティンのアルバムがあるのですが
この録音はイギリスのとある田舎の湖のほとりにsつ農場でアイランドレコードのモービル(車に付けた移動式スタジオ)を停めて行ったらしい。
アイランドの社長のクリスブラックウェルにジャマイカ旅行に連れて行かれたジョンマーティンはそこでダブにハマり(もともとテープエコー狂でもあった)、リーペリーの録音にギターで参加。イギリスに戻った直後に制作されたこのアルバムでは湖の反対側にスピーカーを立てて、湖面を反射させた天然リバーブにシンセもドラムもギターも通して録音したらしい。
最後のアンビエントフォーク曲ではリバーブだけではなく湖の水の音やカモメの音もフィーチャーされています。
こういった素晴らしいレコーディングの逸話はこの本にたくさん載っています。オススメです。
外リバーブ、もう少し涼しくなって虫が出なくなったら試してみる予定です。東京の東側の川沿いを考えています。